東京高等裁判所 昭和30年(ラ)274号 決定
仮に右送達報告書の記載が真実に合致せず、抗告人は債務者兼所有者として競売開始決定の送達を受けていないとしても、競売法による不動産競売手続において、目的不動産に対する差押の効力は、競売法第二十六条にもとずく競売申立の登記によつても発生するものであり(大審院昭和二年四月二日決定参照)本件においては昭和二十九年九月二十九日受附第二一一三九号をもつて右の登記がなされていることは記録上明らかであるから、本件不動産に対する競売開始決定にもとずく差押の効力はこの時以後すでに発生しているものというべきである。しかも本件の競売期日の通知は抗告人に対し適法になされていることは記録中の郵便送達報告書により明らかであるから、抗告人の知らない間にその所有不動産が競落されたものということはできない。してみると本件競売開始決定がたまたま抗告人に送達せられなかつたとしても、この手続上の手落ちはなんら本件競売の結果に影響を及ぼすものではなく、また抗告人に損失をこうむらせるものでもないといわなければならない。